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今回の作品は
「俺は彼女が嫌いだった」耳の聞こえない少女との出会いが少年の人生を変えていく…
「聲の形」
作者: 大今良時
出版社 講談社
ジャンル 少年マンガ
掲載誌 週刊少年マガジン
聲 の 形 あらすじと登場人物・レビューを紹介!
(アル/ 聲の形/ 作者・大今良時/ 講談社)
「聲の形 とは」
2013年36号•37号(合併号)〜2014年51号の間に「週刊少年マガジン」にて連載された。
第80回「週刊少年マガジン新人漫画賞」入選
第38回「講談社漫画賞」少年部門ノミネート
2014年「コミックナタリー大賞」第1位
2014年「コレ読んでマンガランキング」第4位
2015年「このマンガがすごい!」男編 第1位
2015年「マンガ大賞」第3位
第19回「手塚治虫文化賞」新生賞受賞
2015年「この装丁がすごい!漫画装丁大賞」完結賞
2016年「SUGOI JAPAN Award 」マンガ部門「SUGOI20」ノミネート
2016年「YALSA(全米図書館協会)」ベスト漫画(グラフィックノベル)10選
2016年「アイズナー賞」最優秀アジア作品集候補
2016年「マンガワ賞」少年部門受賞
2017年「富川漫画大賞海外漫画賞」受賞
聴覚障害によっていじめを受けている少女と、彼女をいじめる中心人物となったことで周囲から切り捨てられ孤立していく少年との触れ合いをテーマにしており、人間の持つ孤独や絶望、純愛や友情を描いた作品である。
「あらすじ」
高校生の少年「石田将也」は自分が過去に犯してしまった罪から、一人の少女の行方をずっと探していた。
ある日、とある手話サークルの会場にてずっと探していた聴覚障害を持つ少女「西宮硝子」との再会を果たすのだが、彼女は驚きのあまりその場から逃げ出してしまう。
そして物語は小学校時代へと遡る。
小学生の頃の将也は、いつも悪ふざけをして遊んでいた友達たちが徐々に一緒に遊ばなくなっていき、退屈な日々を送っていた。
そんな時に「西宮硝子」が転校してくる。
彼女はノートに綴った自己紹介で、自分は耳が聞こえない事を伝えた。
硝子が転校してきて以降、耳が聞こえない彼女が原因で授業に遅れが出始め、クラス全体に苛立ちがつのっていく。
やがてクラスメイト達は将也を中心に硝子をいじめるようになる。
音楽教師の軽率な行動によって硝子への風当たりはますます強くなり、将也のいじめもエスカレートしていく。
しかしその先に思いもよらぬ裏切りが将也を待っていた。
ある日、クラスの学級会が開かれた。
そこで将也達のいじめによって硝子が身につけていた補聴器が紛失し被害総額が170万円にもなっていた事が発覚する。
将也は自分がしてしまった事の重大さを認識し、内心はひどく動揺したが、警察沙汰になる前に正直に手を挙げようとした。
しかしその時、クラスの担任が将也を名指して糾弾し始め、他のクラスメイト達もそれに便乗し将也に全ての責任を押し付けた。
これがきっかけで周囲に裏切られた将也が新たないじめの標的となってしまう。
誰からも助けてもらえずクラスメイトから暴力を受けて倒れていた将也を硝子は介抱しようとする。
だが将也はそれを拒絶してしまい硝子と取っ組み合いの喧嘩になってしまう。
その一ヶ月後、硝子は黙って転校していった。
その後将也は、硝子が自分の机の落書きを一生懸命消そうとしてくれていた事実を知る。
そして卒業式の日、将也は相変わらず落書きされていた机を拭きながら、分かり合えないまま終わってしまった硝子との関係に涙するしかなかった。
物語は中学生編へと続く。
「登場人物」
石田 将也(いしだ しょうや)
本作の主人公。
小学校時代は幼稚で粗暴なガキ大将タイプ。
コミュニケーションが下手で退屈を極度に嫌う。
河川に飛び込んだり、自分より身体の大きい者に喧嘩を売ったりするなど自分の度胸試しをするような悪癖があった。
硝子へのいじめもその好奇心からの延長に過ぎなかったが、それがあまりにも度が過ぎてしまったので、ある日のクラス学級会で糾弾され孤立してしまう。
それ以降、スクールカーストの最下位に転落した将也はそれまで仲が良かったクラスメイトから手のひらを返すようにいじめられるようになる。
しかしそんな中でも、今まで自分がいじめていた硝子だけが最後まで将也を見捨てず友達になろうとしていた。
だが時はすでに遅く、硝子の優しさに気づいた時には彼女は転校していってしまう。
西宮 硝子(にしみや しょうこ)
本作もう一人の主人公。
先天性聴覚障害を持つ少女。
補聴器をつけても会話はほとんど聞き取れないほど障害の程度は重く、発話も不完全で他人から言葉はかなり聞き取りづらい。
幼い頃からコミュニケーションで失敗した経験を重ねてきた為、他人と意見を交わすことが苦手で、周囲と摩擦が起こった時は愛想笑いで誤魔化すことが多かった。
結果としてそれが「周りに相談せず身勝手な事をする」といった印象となることも少なくなく、クラスメイトから敬遠されていく要因にもなった。
障害が発覚したのは3歳の時。
父親は障害発覚後、母親に責任を押し付けて離婚。
母の方針でインクルージョン教育(障害のある者と無い者が共に学ぶ仕組み)を選択する。
しかし度重なるいじめを受け、将也のいた水門小学校の後は特別支援学校に渡る。
それから孤独で内向的な生活を送っていたが、高校に進学した後、自分の為に献身的に手話を覚えた将也と再会する。
植野 直花(うえの なおか)
将也と小学校時代からのクラスメイト。
気が強く自分が思った事はすぐ言葉に出してしまう真っ直ぐな性格。
相手を見下した高圧的な態度を取ることがあり、自分の納得出来ない事や、追い詰められたりすると暴力や暴言が出たりとヒステリックな一面を持つ。
小学校時代、転校してきた硝子の世話役を成り行きで任される。だがその負担の大きさに教師からの支援や理解もなく次第に不満を募らせていく。
その結果、自身も硝子の筆談ノートに悪口を書き込むなど陰湿ないじめを行う。
一方で将也が硝子の補聴器を壊すという直接的ないじめで学級裁判で吊し上げられた時、自分に火の粉がかかるのを避ける為、結果的に将也を売る発言をしてしまう。
佐原 みよこ(さはら みよこ)
将也と小学校時代からのクラスメイト。
硝子の世話役を任された植野の負担を軽減するため、手話を学んで硝子をフォローする。
しかしその事で、クラスメイトから逆に「点数稼ぎ」と罵られてしまい、卒業式の日まで不登校になってしまう。
その為、将也が硝子をいじめていた事や、将也がクラスメイトからいじめられていた事は知らない。
川井 みき(かわい みき)
将也と小学校時代からのクラスメイト。
小•中•高と学級長を務めている優等生。
基本は真面目な生徒だが、自分が追い詰められると相手を悪者扱いする利己的、保身主義的なところがある。
硝子には直接的ないじめこそ行っていないものの、陰では植野と散々悪口を言っていた。
学生生活に一生懸命に取り組んできた自負心も相まって、自分が硝子をいじめていたという自覚は皆無で、むしろ障害者である硝子と交流を持った事は自身の良い経験になっとさえ思っている。
島田 一旗(しまだ かずき)
将也と小学校時代からのクラスメイト。
将也を中心としたいじめに加担していた生徒。
育ちが良く家の束縛が厳しかったので、将也の自由奔放さが彼にとっては心地よかった。
当初は将也とも仲が良く一緒になって硝子をいじめていた。
しかし、いじめ発覚後は将也を裏切る形でいじめの対象とする。
竹内(たけうち)
将也達のクラスの担任教師。
感情をあまり表に出さず冷淡な態度が目立つ。
障害を持つ硝子に関しても積極的に受け入れたわけではなく、硝子への支援もクラスに丸投げし障害をからかう将也の冗談も注意する事なく一緒に笑っていた。
度が過ぎてきた将也のいじめに対して職員室で注意はしているが、「やり過ぎは良くない」など的の外れた簡単な注意しかしておらず、学級会が開かれた際には真っ先に将也に疑いをかけ、将也が人間不信に陥った原因を作った張本人である。
西宮 結絃(にしみや ゆづる)
硝子の妹(3歳年下)
不登校で学校には通っていない。
ボーイッシュな見た目で自分の事を「オレ」と呼んでいる。
幼い頃から姉を慕っており、姉に偏見をぶつけたりいじめたりする者を心底憎んでいる。
髪を短く切って男の子のように振る舞うようになったのも、姉を守る強さを子供なりに表現したものだった。
小学校時代、姉をひどくいじめた将也の事は認識しており、将也が硝子との距離を縮めようと家に訪れた時は、憤りを隠さずあらゆる手を使って妨害する。
石田 美也子(いしだ みやこ)
将也の母親。
床屋を経営している。
子供達(将也と将也の姉)の教育面には少し放任主義的なところが見られる。
だが親としての愛情や責任感は高く、将也が壊した硝子の補聴器代170万円も即日弁償し子供にも普段から優しく接するなど、作中に問題がある大人が多い中で数少ない良識的な人物である。
西宮 八重子(にしみや やえこ)
硝子と結絃の母親。
医療関係の仕事をしている。
自分にも他人にも厳しくすることで自分も娘達も強くなることができると信じており、硝子が小学校でいじめに遭っている事を知りつつも、硝子が自分で解決する事を望んで限界まで耐えていた。
自身が硝子を産んで3年後に硝子の障害が発覚すると、夫とその両親から一方的に責任を押し付けられ離婚される。
それがきっかけで強引で冷淡な性格になってしまい、高校生になった将也と再会した時は問答無用で彼を平手打ちした。
「感想」
互いの気持ちを伝えることの難しさ
退屈を嫌う主人公•石田将也が聴覚障害を持つ西宮硝子をいじめるところから物語が始まります。
「いじめ」や「障害」をテーマとしており、少年誌としてはディープで重たい作品になっています。
いじめる側といじめらる側はあるきっかけで逆転し、人間が本来持っている残虐性を描いていて読み進めるのにはエネルギーが必要かもしれません。
登場人物は子供も大人も嫌だなと思うキャラが多く、けどある意味リアリティがあります。
(人間てそういうもんだよなって思ったり)
ですがそのキャラクターそれぞれに物語があり、視点があり、このキャラには将也と硝子はこんな風に映っているんだなと思わせてくれます。
なのでそれぞれの本当の想いや考えを理解するには深く読み続けていくしかないと思いました。
高校生になり硝子と再会した将也が、自分の過去の過ちと向き合い進んでいくところから物語が大きく動いていきます。
無理に感動を誘うわけでもなく、2人とその周りの人達との関係が淡々と描かれていきます。
この物語の答えを出すのは一人一人の読者になるのかもしれません。
将也と硝子
障害やいじめを乗り越えた先に、2人を待っているのは…。
今回は「このマンガがスゴイ!」受賞作品
「聲の形」
を紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました★