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「マンガ大賞」を受賞した作品を紹介するシリーズ
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今回の作品は
不器用人間と仔犬のような姪が贈る年の差同居譚!
「違国日記」
作者: ヤマシタトモコ
出版社 祥伝社
ジャンル 女性マンガ
掲載誌 FEEL COMICS swing
違国日記 あらすじや感想・名言も紹介!
(アル/違国日記 / 作者・ヤマシタトモコ/ 祥伝社)
「違国日記 とは」
2017年7月号から「FEEL YOUNG」にて連載がスタート。
2019年「マンガ大賞」第4位
2019年「このマンガがすごい!」女編 第4位
2020年「マンガ大賞」第10位
小説家の「高代槙生」が、亡くなった姉の子供「朝」を引き取り、困惑しながらも歳の離れた姪と同居をしていく家族をテーマにしたヒューマンドラマ作品。
「あらすじ」
ある冬の日、小説家である「高代槇生」は、実家を出て以来ずっと疎遠になっていた姉の「高代実里」とその夫が事故で急逝した知らせを受ける。
母親からの連絡を受けて警察署へ向かった槇生は、そこで幼い頃に会ったきりになっていた姪の「田汲朝」と出会う。
翌日、葬儀の場で親戚が集まり、遺された朝をどうするかの話し合いが行われていた。
それはもはや厄介事を押し付け合う場になっており、見かねた槇生はこの状況を見過ごす事が出来ず、その場の勢いで朝を引き取ると決意する。
朝を連れ帰り一夜明けてから槇生は、改めて自分がとんでもない事をしたと自覚する。
槇生はその時、極度の人見知りが発動して、自分という人間が人付き合いが苦手な孤独を愛する人間だと思いだす。
いきなり始まってしまった2人暮らしに明らかに狼狽していく槇生。
一方、朝は至って冷静だった。
両親を亡くした実感もなくどう悲しんだらいいかわからないまま、朝は「普通ではない大人」との暮らしを少しずつ受け入れていく。
「登場人物」
高代 槇生 (こうだい まきお)
本作の主人公。35歳。
「こうだい槇生」の名前で活動している小説家。
主に少女小説やエッセイを執筆している。
美人でスタイルは良いが身だしなみにあまり頓着しない為、基本ボサボサ頭である。
外出する事は少なく家にいる時は基本仕事をしている。
姉の「実里」が事故死してしまった為、姪である「田汲朝」を引き取り一緒に暮らす事になる。
元々はかなりの人見知りで、人付き合いが苦手というかむしろ孤独を好んでいる。
掃除や片付けは出来ず、人と接触したり電話なども苦手。嘘をつくのも下手で、「普通の事が出来ない大人」で、本人もそれを自覚しており気に病んでいる。
田汲 朝 (たくみ あさ)
「高代実里」と「田汲はじめ」の娘。15歳。
中学3年生の時に両親を事故で亡くし、実里の妹である高代槇生と一緒に暮らす事になる。
両親を失った悲しみを整理する事が出来ないでいるが、変わり者の槇生との生活を少しずつ受け入れていく。
現実から逃れようとし、自分自身を守る為かやたらとよく眠る。
特技は音だけ聞いて言葉を聞かないこと。
母親が生前の頃、何かと意見を押しつけられる事が多かった為か、母親の意見を気にする性格は続いている。
実は実里の実子ではないということが噂されている。
笠町 信吾 (かさまち しんご)
槇生の元恋人。35歳。
会社の服飾宣伝室に勤めている。
槇生と別れてからはずっと疎遠になっていたが、朝を引き取った槇生から連絡をもらう。
今後の生活について相談に乗り、未成年の後継人や生命保険の手続きなどをサポートする。
趣味は身体を動かす事で、ジムによく通っている。槇生と別れた原因は自分にあるとし、あわよくば復縁を考えている。
塔野 和成 (とうの かずなり)
朝の未成年後見人となった槇生を監督する弁護士。
主に朝の両親の生命保険の手続きや、朝名義の資産の管理に関係する事についてアドバイスを行う。
槇生に電話で連絡を取ろうと何度も試みるが、槇生の電話嫌いが災いして中々コンタクトが取れず、痺れを切らして自宅まで押しかけた。
何かと思った事を口に出すタイプで失言が多かったりするが、基本的には子供の人権を第一に考える優しい性格である。
楢 えみり (なら えみり)
朝の友人の女子中学生。15歳。
朝の両親が亡くなった事を知り母親に話したところ、母親が学校に連絡し連絡網でそのまま学校中に知れ渡ってしまう。
その事を知り怒った朝から相当嫌われてしまうが、めげずに連絡を取り続けなんとか元の関係まで修復した。
高校は朝と同じ学校に通い、入学初日から化粧をして登校する。朝にももっとオシャレやメイクに興味を持ってほしいと思っている。
えみりの母 (えみりのはは)
娘のえみりからクラスメイトの田汲朝の両親が亡くなった事を聞き学校に連絡した。
その事がきっかけで連絡網が回り、学校全体に知れ渡る事になってしまった。
一般的に見ると良い人そうに思えるのだが、標準的な尺度でしか物事を見られないところがあり、入学式に出席しない槇生を怪しんだり、孤独になった朝を勝手に哀れんだりしている。
高代 実里 (こうだい みのり)
槇生の姉で朝の母親。
朝の父親の「田汲はじめ」とは内縁の関係であり、朝は実子ではないと言われている。
車で外出した際にパーキングエリアに停車していたところをトラックに追突されて、42歳の若さで死亡した。
エリート意識が強く自分の意見を押し付ける傾向が強かった。
生前は妹の槙生に対して高圧的でさげすんでおり、朝に対しても似たような言動をしていた。
田汲 はじめ (たくみ はじめ)
田汲朝の父親。
実里とは内縁の関係で、朝と3人で暮らしていた。
車で外出中パーキングエリアに停車中にトラックに突っ込まれ命を落とした。
享年41歳。
生前は朝の事で実里とよくケンカになり、実里の機嫌を伺いながら朝にアドバイスなどをしていた。
醍醐 奈々 (だいご なな)
槙生の学生時代からの友人。35歳。
槇生が朝を引き取ったと知り、様子を見る為に家を訪れる。
なにかと大雑把な性格をしており、口が悪く大きな声で爆笑するなど、子供がそのまま大人になったような人である。
一方で料理好きでお菓子を作るのが上手だったりと意外な一面も持っている。
槇生の良き理解者であり、朝との2人の今後の事を考えて槇生の元恋人「笠町信吾」に連絡をとるように勧めたのは彼女である。
「感想」
いつまでが子供でいつからが大人?
両親を事故で亡くし叔母の「高代槇生」に引き取られた「田汲朝」が、正反対のタイプである槇生と暮らしながら互いの心の距離を近づけていく物語です。
35歳の槙生は大人であるにも関わらず普通の大人が出来る一般的なことが出来ない。
一方で15歳の朝は年齢の割に落ち着いていて、何かと達観しているように見える。
この作品を読んでいると「大人」や「子供」ってそもそもどういうことなのか?
何で線引きされているのかされていないのか?
いろいろ考え直してしまいます。
ストーリーは各キャラクターの心情描写がもうとてつもなく繊細に描かれています。
叔母と姪のハートフルストーリーとかそんな簡単な物では無く、一言では言い表せない人間関係の機微がよく感じられます。
槇生はかなり特殊な人間です。
しかし、極度の人見知りで苦手だった姉の娘(姪)を引き取ると決意した事、彼女を傷つける者から守りたい気持ち。
そこには確かに槇生の溢れた優しさが垣間見え、胸が熱くなります。
そして槇生はさすが小説家であるからか、心に残る名言をたくさん残していきます。
最後にそのひとつを記します。
「日記を、つけ始めるといいかもしれない」
「この先、誰があなたに何を言って、誰が何を言わなかったか。あなたが今何を感じ、何を感じないのか」
「今書きたい事を書いて、書きたくない事は書かなくていい。本当の事を書く必要もない」
日記は正直な事を書く物ではなく、その時のありのままの感情を書き残しておくものなんだなと思いました。
今回は「マンガ大賞ノミネート」作品
「違国日記」
を紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました★