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今回の作品は
多くの秘密を孕んだ世界に記録係の少年が世界の謎を追いかける砂漠戦記!
「クジラの子らは砂上に歌う」
(アル/ クジラの子らは砂上に歌う/ 作者・梅田 阿比/ 秋田書店)
作者: 梅田 阿比
出版社 秋田書店
ジャンル 少女マンガ
掲載誌 ミステリーボニータ
クジラの子らは砂上に歌う あらすじやキャラクター
「クジラの子らは砂上に歌う とは」
2013年7月号から「ミステリーボニータ」にて連載スタート。
2015年「このマンガがスゴイ!」女編 第10位
「次に来るマンガ大賞」ノミネート
2016年、2018年(再演)に舞台化。
2017年10月〜12月の間にTOKYO MXほかにてテレビアニメが放送される。
砂の海に浮かぶ巨船「泥クジラ」に乗る、遺物記録係である少年の姿を描いたファンタジー作品。
「あらすじ」
舞台は砂が全てを覆い尽くす世界。
砂の上に浮かぶ漂白船「泥クジラ」では二種類の人間が共に暮らしている。
感情を発動源とする超能力「情念動(サイミア)」を持つ「印(シルシ)」と呼ばれる人々。
能力を持たない「無印(むいん)」と呼ばれる人々。
この泥クジラの9割の人々は「印」で構成されており、彼らは皆一様に30歳前後で寿命を迎えてしまう短命だった。
「外の世界から閉ざされた泥クジラでその短い生涯を終える」
泥クジラにはその運命を受け入れた印の少年「チャクロ」が乗船していた。
ある日彼は、突然砂の海に漂着した廃墟船の中で「リコス」という少女と出会う。
チャクロはリコスを泥クジラに迎え入れ、共に暮らすよう提案するが、その直後、「外の世界」から一方的な襲撃を受ける。
なんとか襲撃を退けた後、泥クジラを襲ったのはリコスの故国である「帝国」の軍隊である事が知らされる。
その後、泥クジラの新首長となった無印の青年「スオウ」は、指導者の組織である「長老会」から泥クジラと帝国の衝撃の関係を聞くことになる。
「登場人物」
泥クジラ
チャクロ
本作の主人公。「印」男性。
物語の語り手も担う。14歳。
泥クジラで記録係を務める心優しき少年。
なんでも記録せずにはいられない「過書の病」(ハイパーグラフィア)であり、ものを書きたい衝動に駆られたり、大量の記録を目にすると、頭の中で情報が奔流する発作に見舞われる。
この力を活かして、泥クジラで起きたことや周囲の自然現象などあらゆる事を書き残す記録係となる。
見聞きしたことをすぐメモできるように、屋外でも常に筆記具を携帯している。
今までは客観的な事実だけを記録していたが、帝国の襲撃以降は私見や感情なども入れた日記に近い記録となっていく。
ただの記録保持ではなく、自らの意志で泥クジラが見舞われた出来事や歴史を世界の人々に伝える手記として書き残そうと決意する。
リコス
本名は不明。「印」14歳。女性。
泥クジラ誕生以来初めて外界から現れたとされる褐色の少女。
廃墟と化した船の上で放心しているところをチャクロに発見された。
後にその存在が泥クジラとチャクロの運命を左右する引き金になる。
元々兵士だったので「サイミア」を使った戦闘能力に優れている。
チャクロと交流を深めていく中で、彼に淡い恋心を抱くようになっていく。
サミ
「印」13歳。女性。
チャクロの幼馴染でスオウの妹。
チャクロと仲が良く、歩き疲れるとおんぶをねだってチャクロに甘えたりと彼に対して恋心を抱いていると見られる。
リコスに対しては綺麗な人だと思っていて、彼女の来ていた服の刺繍から「リコス」と名付けたのも彼女である。
スオウ
「無印」17歳。男性。
泥クジラの時期首長候補(後に首長となる)
チャクロ達など泥クジラの若者からの信頼も厚い人物。
非常に美しい美貌の持ち主であり女性と見間違うほど。
島の内外を問わず女性を魅了し、時にはそれを利用することもある。
「印」の若者たちの短命を憂いて、彼らの寿命を延ばす為の研究を続けている。
一方で、運動神経は鈍く、戦闘能力も低い。
タイシャ
「無印」42歳の女性。
泥クジラで首長を務める(スオウは彼女の次の首長)
執政権を持たない象徴として自身の首長の在り方に悩んでいたが、それ以上に泥クジラに住む人々の象徴であるべく職務を全うする道を選ぶ。
泥クジラには首長は家族を持ってはならないという掟があり独身である。
クチバ
「無印」39歳。
タイシャの側近を務めており、密かにタイシャに好意を寄せている。
その後はスオウの側近となる。
性格は気が短く口が悪いところもあるが、面倒見が良い。
長老会から「印」の妻「スミ」を押し付けられ、「キクジン」という「印」の子を授かる。
物語が進むにつれ、チャクロたちが泥クジラの謎を解き明かしていく際に重要な人物となる。
帝国
オルカ
「印」24歳。リコスの兄。本名は不明。
人形兵士「アパトイア」を率いる皇帝直属の軍団を指揮する長官。
戦艦スキロスを使い、泥クジラの住民を皆殺しにしようと襲撃する。
10年以上前、まだアパトイアの一人だった頃、サイミアの能力の高さと頭の回転の早さから仲間から「オルカ(鯱)」と呼ばれており、当時の呼び名がそのまま定着している。
リョダリ
「印」15歳。リコスとは幼馴染。
泥クジラを襲撃した兵士の一人で、常に狂気じみた発言をしている。
ヌースの感情統制下にいるにも関わらず感情をほとんど喰われることなく、狂気めいた部分が多く残ってしまった為、家族から切り捨てられた。
感情を持たない帝国の人々を人形のようだと蔑む。
用語
情念動(サイミア)
泥クジラの9割を占める住民「印」の人達が操る念能力の事をさす。
念じることで身体に念紋(アウラ)と呼ばれる痣が浮かび、物を手で触れずに動かすことができる。
印(シルシ)
チャクロやリコスなどサイミアを使える者。
サイミアを用いる際、身体に浮かぶ念紋(アウラ)の範囲が広ければ広いほど強い力を持つと言われている。
短命で30歳前後が寿命。
無印(むいん)
スオウやタイシャなどサイミアを使えない者。
泥クジラでも1割ほどの数しかいないが、印とは異なり長命であるため、首長や執政を担う立場になる者が多い。
印とは一緒にいられる時間が短く、彼らを犠牲にして生きているという罪の意識がある。
泥クジラ
砂の海を漂流する漂泊船。
船上には中央塔から第5塔まで5つに塔や居住区、工房、医務室などを含めた専門塔、農園、貯水池、竹林などがあり、建造物は全て泥で出来ている。
魂形(ヌース)
泥クジラを始めとする砂の海を航海する船の心臓部となる特殊な生き物。
帝国はヌースの母体を8体所持している。
人間の感情を喰らう生き物で、ヌースの保持者は感情を喰われた人間を支配することが可能。
帝国
「魂形(ヌース)」による感情統制を敷く巨大国家。
リコス、オルカ、リョダリらが所属している。
住民は全員が褐色の肌をしており、名前を名乗ることを禁止されている(詳細は不明)
ヌースを発展と象徴の存在としてきた。
「感想」
綿密に作り上げられたディストピアのハイファンタジー!
繊細な絵のタッチで描かれるこの作品。
ファンタジー物として、とてつもない完成度でこの世界観を作り上げた作者様に感服しました。
作中に登場する泥クジラの生態系や文化、衣・食・住、冠婚葬祭の習俗に至るまでとてもよく練られています。
過酷な環境にも柔軟に対応し、知恵を出して協力し合いながら逞しく暮らす泥クジラの住民達はとても魅力的に見えます!
この世界はたくさんの謎や伏線が散りばめられていて、読んでいくと少しずつ回収していける楽しさがあります。
ほんとうに描き込みがスゴイ…!
漫画(この異世界)に独特の雰囲気があり、専門用語が多く、物語を理解していくのに少し情報整理が必要かもしれません。
ですがキャラクターの心情がしっかり伝わってくるくるような描き方をされているので、物語に強く引き込まれていきます!
主人公は心優しき少年。彼の冒険を見守りつつも
泥クジラ、印、サイミア、ヌース、といったこの世界の謎を解きたくて次のページをめくり続けることになると思います!
今回は「このマンガがスゴイ!」受賞作品
「クジラの子らは砂上に歌う」
を紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました★